以下は2022年度までのお知らせです。最新のお知らせはこちらをご覧下さい。

<日韓連帯フォーラム>は、日韓関係に携わる研究者・活動家たちが、平和研究を基盤にしてポスト冷戦時代を見据えた新たな日韓関係のあり方について対話を行い、市民社会の領域から「65年体制」を乗り越える方法を提案するものです。過去の日韓連帯を政治的・運動論的な視点に押しとどめるのではなく、社会的・経済的領域にまで広げて、21世紀の日韓関係にふさわしい概念として再生し、これに「平和研究」を接続する試みです。毎月、日韓関係の研究者や市民運動に携わる方々の講演や研究発表を行い、議論します。

*本フォーラムは韓国国際交流財団(KF)の助成によって運営します。
*フォーラムおよびシンポジウムの開催日は、決まりしだい本HPにアップします。

<한일연대포럼>은 한일관계에 관심을 갖는 연구자 및 활동가들이 평화연구를 기반으로 해서 포스트 냉전 시대에서의 새로운 한일관계의 모습에 대해서 대화하고, 시민사회 영역에서부터 '65년체제'를 넘어서는 방법을 제안하는 것입니다. 과거의 '한일연대'를 정치적・운동론적인 시점에 가두지 않고 사회적・경제적 영역에까지 넓혀 21세기 한일관계에 어울리는 개념으로 재생하여, 이것을 평화연구와 접목시키고자 합니다. 매월 한일관계 연구자, 시민운동 관계자 분들의 강연회, 연구발표를 개최하고 토론합니다.

*본 포럼은 한국국제교류재단(KF)의 지원으로 운영됩니다.

(日付部分をクリックすると詳細をご覧いただけます)


【第1回】2020年7月1日(水)15:00-17:00
講師:小林久公さん(「過去と現在を考えるネットワーク北海道」代表)

講演「強制動員真相究明ネットワークのあゆみ」

会場:本学東アジアメディア研究センター

●講師プロフィール

1942年札幌市で生まれる。札幌南高校、法政大学を経て札幌信用金庫に2002年まで勤務。高校時代に60年安保闘争に参加、小説『高校生たち』のモデルの一人。1982年ごろから北海道の開拓の歴史や底辺労働者の問題などの調査・研究を始める。現在、強制動員真相究明ネットワーク、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動、戦争させない市民の風北海道などで活動している。




【第2回】2020年8月5日(水)15:00-17:00
講師:安海龍さん(アン・ヘリョン、ジャーナリスト)

講演「朝鮮人労働者の慰霊、そして日韓の市民社会」

<オンライン会議システム「zoom」で開催>

●講師プロフィール

韓国の映像ジャーナリストの第1世代として活躍する映像作家。日本に本拠を置くジャーナリスト集団「アジアプレス」などで活動している。
2014年に朝鮮人元慰安婦・宋神道さんの10年間に及ぶ裁判と闘争を描いた長編ドキュメンタリー「オレの心は負けてない」を発表。映画制作のかたわら来日を重ねて各地の朝鮮人労働者の慰霊碑を撮影し、2019年にはこれらの写真を紹介するサイト「散らばった歴史
忘れられた名前」を公開している。

*当該サイトはこちらから見られます ➡︎ https://monument.sisain.co.kr
(ページの右側の「日本語版で読む」をクリック)




【第3回】2020年9月16日(水)15:30-17:30
講師:松井理恵さん(まつい・りえ、跡見学園女子大学・講師)

講演「森崎和江『慶州は母の呼び声』韓国語版出版によせて」

<オンライン会議システム「zoom」で開催>

●講師プロフィール

2011年筑波大学大学院人文社会科学研究科修了、博士(社会学)。北星学園大学非常勤講師を経て、現職。大邱のフィールドワークをきっかけとして、森崎和江の作品に触れる。大邱在住の朴承柱氏と共同で『慶州は母の呼び声』の韓国語訳を手がけた。

●講演内容

1984年に新潮社から刊行された森崎和江『慶州は母の呼び声―わが原郷』が、36年後の今年9月に韓国で刊行されることとなりました。本書は、植民二世として朝鮮半島で生まれ育った森崎和江さんの回顧録です。講演では、本書が韓国語に翻訳、出版される経緯についてお話しします。そして、今回の韓国語版出版の意義について、参加者のみなさんと考えてみたいと思います。




【第4回・座談会「「日韓連帯」を研ぎ澄まして」<第一部>】2020年10月21日(水)18:00-20:00
<オンライン会議システム「zoom」で非公開で開催。内容は後日アップ予定>

●パネリスト

金敬黙(早稲田大学文学学術院教授)

李美淑(立教大学グローバル・リベラルアーツ・プログラム運営センター助教)

小田川興(早稲田大学アジア研究所招聘研究員)

寺西澄子(アーユス仏教国際協力ネットワーク教育交流事業担当)

明石薫(Artist Action事務局)

●コーディネーター

玄武岩(北海道大学メディア・コミュニケーション研究院教授)


●パネリストのプロフィール

*金敬黙(キム・ギョンムク)

早稲田大学文学学術院教授。その他、早稲田大学韓国学研究所・所員、アジア研究所・所長。平和研究、アジア研究、トランスナショナル市民社会論を研究かつ活動領域としている。韓国外国語大学にて学士号を取得し、東京大学大学院・総合文化研究科にて博士課程を修了(東京大学、博士・学術、2006)。編著『越境する平和学』(法律文化社、2019年)、その他多数。

*李 美淑(イ・ミスク)

専門はメディア・コミュニケーション研究。トランスナショナルな公共圏論、トランスナショナルな連帯/市民社会、ジャーナリズムのあり方について研究してきた。著書に『「日韓連帯運動」の時代―1970~80年代のトランスナショナルな公共圏とメディア』(東京大学出版会、2018)。

*小田川 興(おだがわ・こう)

元朝日新聞ソウル支局長、編集委員。高麗大学東北亜経済経営研究所顧問、聖学院大学特命教授、早稲田大学客員教授を歴任。早稲田大アジア研究機構「日韓未来構築フォーラム」を立ち上げ、09年から「日韓誠信学生通信使」交流を展開。日本記者クラブ会員。著書に『38度線・非武装地帯をあるく』、『被爆韓国人』(編訳)、『北朝鮮問題をどう解くか』(編著)など。

*寺西 澄子(てらにし・すみこ)

2000年、日本国際ボランティアセンター(JVC)入職。2001年にスタートした日・朝・韓の子どもたちの絵画展「南北コリアと日本のともだち展」実行委員会の事務局を担当し、韓国、朝鮮との交流活動に従事。2017年より現職。

*明石 薫(あかし・かおる)

千葉大学にて生涯学習を専攻。在学中よりアートプロジェクト等の企画・運営を行う。大学卒業後、千葉市美術館、武蔵野プレイスにてイベント企画や図書館業務を担当。並行して科学研究費の事務職等を経て2019年独立。日/韓/在日のアーティストにより結成された団体「Artist Action」では2010年より事務局をつとめる。




【第5回】2020年11月11日(水)15:00-17:00
講師:木村典子さん(きむら・のりこ、公益財団法人北海道演劇財団専務理事)

講演「北海道と韓国の演劇交流」

<オンライン会議システム「zoom」で開催>

●講師プロフィール

旭川市生まれ。1997年、語学留学のために渡韓。98年から韓国の劇団木花の制作を担当。2008年からフリーランスのプロデューサー、コーディネーター、通訳・翻訳者として活動する。また、外務省の第3期日韓文化交流会議の委員として参加し、提言書の作成にかかわる。14年に帰国し、現在、北海道演劇財団プロデューサー。




【第6回・座談会「「日韓連帯」を研ぎ澄まして」<第二部>】2020年12月2日(水)18:00-20:00
<オンライン会議システム「zoom」で非公開で開催。内容は後日アップ予定>

●パネリスト

金敬黙(早稲田大学文学学術院教授)

李美淑(立教大学グローバル・リベラルアーツ・プログラム運営センター助教)

小田川興(早稲田大学アジア研究所招聘研究員)

寺西澄子(アーユス仏教国際協力ネットワーク教育交流事業担当)

明石薫(Artist Action事務局)

●コーディネーター

玄武岩(北海道大学メディア・コミュニケーション研究院教授)

●パネリストのプロフィール

*第4回の座談会第一部をご参照ください。




【第7回】2020年12月16日(水)18:00-19:30
講師:徐潤雅さん(ソ ユナ・立命館大学コリア研究センター客員研究員)

講演「富山妙子が描いた韓国民主化運動 -《朝鮮風景》から《光州のピエタ》まで」

<オンライン会議システム「zoom」で開催>

●講師プロフィール

韓国釜山生まれ。大阪大学大学院文学研究科(日本学)博士課程修了。博士(文学)。韓国語の非常勤講師をしながら研究活動中。富山妙子を中心に、戦後日本の芸術と社会運動の接点について関心を持っている。主な論文に「韓国民主化連帯運動と文化活動ー関西における〈光州連帯〉版画巡回展を中心に」『同時代史研究』第10号、同時代史学会、2017年、「韓国民主化運動を描くー光州事件と画家たち」『日本学報』第37号、大阪大学大学院文学研究科日本学研究室、2018年など。

●講演内容

1980年、東京にいた富山妙子は韓国で起きた光州事件のニュースを耳にすると、すぐに版画の制作に取り掛かりました。スライド化したその作品は、同年7月から日本内外で上映されることとなりました。版画のイメージはそれ以前の作品との連続性を見せながらも、以前より力強い表現へと変化を見せます。富山はどのようにして3週間という短い期間に40点以上の版画とスライドを制作することができたのでしょうか。光州市民の闘いと犠牲を見て、涙ながらに作品に込めた思いとはどのようなものだったのでしょうか。1960年代及び1970年代の作品などを参考にイメージの源泉を探りながら、そのイメージがどのように繋がり、変化していったかを明らかにします。また、そこから見える富山の「韓国観」を考えます。




【第8回】2021年2月17日(水)16:30-18:00
講師:呉世宗さん(オ セジョン・琉球大学教授)

講演「沖縄と朝鮮人」

<オンライン会議システム「zoom」で開催>

●講師プロフィール

1974年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。博士(学術)。琉球大学人文社会学部教授。主な著書に、『リズムと抒情の詩学――金時鐘と「短歌的抒情の否定」』(生活書院、2010年)、『沖縄と朝鮮のはざまで――朝鮮人の〈可視化/不可視化〉をめぐる歴史と語り』(明石書店、2019年)。主な論文に「金嬉老と富村順一の日本語を通じた抵抗」(『琉球アジア文化論集』4号、2018年)、「到来する歴史、積み重ねられていく小さな時間」(『越境広場』4号、2017年)など。

●講演内容

沖縄と朝鮮人。これまであまり注目されてこなかった問題であるが、沖縄を考える際に重要な視点を提供する問題である。講演では沖縄戦時と50年沖縄における朝鮮人の境遇を、また現在遺骨発掘が進められていること、それが東アジアという文脈において貴重な経験になっていることをお話しする。



【第9回】2021年3月10日(水)16:30-18:00
講師:本庄十喜さん(ほんじょう・とき、北海道教育大学札幌校准教授)

講演「地域史の「掘り起こし」から戦後補償運動へ―名古屋の事例から―」

<オンライン会議システム「zoom」で開催>

●講師プロフィール

東京都生まれ。青山学院大学法学部卒、明治大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(史学)。専攻は日本現代史、戦後補償運動史、平和教育。

【主要業績】

内海愛子他著『日韓の歴史問題をどう読み解くか』(新日本出版社、2020年)

杉並歴史を語り合う会・歴史科学協議会編『隣国の肖像-日朝相互認識の歴史』(大月書店、2016年)

歴史教育者協議会編『すっきりわかる!歴史認識の争点Q&A』(大月書店、2014年)

本庄十喜「「日本社会の戦後補償運動」と「加害者認識」の形成過程―広島における朝鮮人被爆者の「掘り起し」活動を中心に―」『歴史評論』761号(2013年9月)など。

●講演内容

1970年代に始まる地域における空襲記録運動や、そこから広がる戦争の「掘り起こし運動」は、かつて軍需工場が多く存在した「軍都」名古屋でも行われていた。報告者は2009年に「愛知民主会館」を調査で訪れた際、愛知県平和委員会理事長で「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」の代表でもある高橋信と出会う機会に恵まれた。その際、名古屋・三菱重工での朝鮮女子勤労挺身隊の徴用と幼い彼女たちの被災・戦災という事実、そして「支援する会」の存在を知る。それ以降、毎週金曜日に品川駅と三菱重工本社前で行われている抗議行動に度々参加し、会のメンバーと行動を共にする中で、運動の経緯など多様な話を伺うことができた。

報告者の研究目的は、戦後補償を求める運動の歴史を探ることにあるが、本報告では名古屋を事例に、地域史の「掘り起こし」がやがて戦後補償運動につながる過程の一端を紹介したい。



【第10回】2021年4月21日(水)18:30-20:00
講演「『海を抱いて月に眠る』執筆の背景」

講師:深沢潮さん(ふかざわ・うしお、小説家)

対談:林炳澤さん(いむ・びょんてく、「日本の戦後責任を清算するため行動する北海道の会」共同代表)

会場:北海道大学学術交流会館 第1会議室

●講師プロフィール

小説家。父は一世、母は二世の在日コリアンの両親より東京で生まれる。上智大学文学部社会学科卒業。会社勤務、日本語講師を経て、2012年新潮社「女による女のためのR18文学賞」にて大賞を受賞。翌年受賞作「金江のおばさん」を含む連作短編集「ハンサラン愛するひとびと」を刊行。在日コリアンの家族の喜怒哀楽が詰まった短編集。(文庫で「縁を結うひと」に改題。2019年に韓国にて翻訳本刊行)。ほかの作品に、ヘイトスピーチに翻弄されるひとびとの物語「緑と赤」(小学館文庫)、女性の貧困を見つめた「足りないくらし」(徳間文庫。韓国にて2019年に翻訳本刊行)父親をモデルにした小説「海を抱いて月に眠る」(文春文庫)2020年韓国にて翻訳本刊行予定)、「乳房のくにで」(双葉社)などがある。

●講演内容

深沢潮さんの『海を抱いて月に眠る』が2021年4月に文庫化され文春文庫より発売されました。同作は在日一世であるお父様の体験をもとにした小説で、日本に渡ってきた朝鮮の青年の友情、家族、祖国のための運動を描いています。講演では小説を執筆した背景や、小説の設定と事実の相違点などをお話しいただきます。講演後にはフォーラムのメンバーである林炳澤さんとの対談で、日本における民族団体の活動、韓国民主化運動の歴史についてもお話しいただきます。



【第11回】2021年5月21日(金)16:30-18:00
講演「拉致と慰安婦とヘイトスピーチ―日本と朝鮮半島の葛藤を取材して―」

講師:北野隆一さん(きたの・りゅういち、朝日新聞編集委員)

会場:zoomによるオンライン開催(*感染拡大を受け、対面開催からオンラインに変更になりました)

●講師プロフィール

朝日新聞編集委員。北朝鮮拉致問題やハンセン病、水俣病、皇室などを取材。新潟、宮崎・延岡、北九州、熊本に赴任し、東京社会部デスクを経験。単著に『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』(朝日新聞出版、2020年)。共著に『私たちは学術会議の任命拒否問題に抗議する』(論創社、2021年)、『祈りの旅 天皇皇后、被災地への想い』(朝日新聞出版、2018年)、『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』(大月書店、2018年)『現代世界の陛下たち デモクラシーと王室・皇室』(ミネルヴァ書房、2018年)、『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩書房、2017年)など。

●講演内容

慰安婦問題、北朝鮮拉致問題、ヘイトスピーチ。日本社会と韓国、北朝鮮、在日コリアンとの関係を語るとき、戦争や植民地支配の歴史に端を発し現代まで積み残された問題が、常に感情的な対立や差別的言辞の火だねとしてつきまとってきました。私は1990年代以来、朝日新聞も当事者として非難や攻撃のやり玉にあげられることが多いこれらの問題を、長年取材してきました。こじれにこじれたこれらの課題を、どう解きほぐせばいいのか。昨年出版した『朝日新聞の慰安婦報道と裁判(朝日新聞出版)などを手がかりに考えていきたいと思います。



【第12回】2021年6月16日(水)16:30-18:30
講演「朝鮮人/日本人 祖母たちの旅程」

講師:都築寿美枝さん(つづき・すみえ、市民活動家・大学院生)

<ZOOMによるオンライン開催>

●講演内容

日帝植民地時代の朝鮮で出会った私の祖父母。祖父は日本人、祖母は朝鮮人だった。双方家族の猛反対を押し切り結婚した二人は、日本の侵略戦争の渦の中で民族的葛藤と階級的葛藤に苛まれる。日本の敗戦で強制送還された祖父を追い渡日した祖母と母は、戦後日本社会の混乱と民族差別の荒波を乗り越えていく。そこには朝鮮人1世の矜持を持つ祖母と民族的アイデンティティを持ち得ない母がいた。紛れもない朝鮮人である祖母の国籍は生涯「日本国籍」だった。その疑問から始まった修士論文作成過程で、日帝植民地政策の具体を改めて知ることになる。祖母をはじめとする家族の生き様は、私の教育活動と市民活動の原動力となった。

●講師プロフィール

1952年岡山市生まれ。母方の祖母は朝鮮人。元広島県の公立中学校教師。市民活動として日本軍性奴隷制問題やハンセン病問題に取り組む。2013年に定年退職後、韓国の延世大学語学堂に語学留学。2018年、聖公会大学大学院NGO学科卒業。修士論文「朝鮮人/日本人 祖母の旅程」。2019年同大学大学院社会学科博士課に進む。



【第13回】2021年7月14日(水)18:00-19:30
講演「原爆と朝鮮人:いかにして正義は回復されるのか」

講師:松田素二さん(まつだ・もとじ、韓国の原爆被害者を救援する市民の会事務局長)

<ZOOMによるオンライン開催>

●講演内容

 いま、日本と韓国の関係は「戦後最悪」と報じられています。その原因として取り上げられるのが、いわゆる「徴用工」問題です。太平洋戦争末期に、朝鮮半島からおびただしい数の若者が徴用され、日本各地の軍需工場や鉱山で強制労働をさせられました。その責任と問い賠償を求める裁判(「徴用工裁判」)が韓国の裁判所に提訴され、2018年には大法院(最高裁)で三菱などの徴用企業に賠償を命じる判決が確定したのです。これを受けて日本政府は、「すでに日韓条約で解決済みの問題で国際法違反」と反論し、マスメディアも、「韓国は理不尽な要求をする」という反応をしているようです。

 この「徴用工裁判」の原告の中に、戦争中、広島、長崎で被爆させられた韓国人被爆者(とその承継者)がいるのです。彼ら彼女らがなぜ、広島、長崎で被爆したのか、その後、どのように見捨てられ切り捨てられながら、自分たちの奪われた権利を取り戻すために、どのように戦ってきたのかを、1960年代に彼らの運動が誕生し、日本での裁判闘争を経て、いま、韓国での「徴用工裁判」に至るまでの苦闘の軌跡を振り返りながら、日本に住む私たちがどのようにこの問題と向き合ってきたのか、これから向き合おうとするのかについて報告する予定です。

●講師プロフィール

韓国在住の被爆者を支援し、日本からの補償と援護を勝ち取ることを目的に1971年に結成された「市民の会」に1974年から参加。孫振斗裁判、広島・三菱元徴用工裁判、郭貴勲援護法裁判などに関わってきた。京都大学アフリカ地域研究資料センター 特任研究員。



【第14回】2021年8月13日(金)18:00~19:30
講演:「日本における民団系在日朝鮮人の韓国民主化運動-韓民統を中心に」

講師:趙基銀さん(チョ・ギウン、東京外国語大学 海外事情研究所 特別研究員)

会場:北海道大学メディア棟407室(zoomでオンライン同時配信)

●講演内容

1970~80年代の韓国は、独裁・軍事政権により国民の民主主義的権利が抑圧される非民主的状況に置かれていた。また、それに抵抗する知識人や学生により民主化運動が行われた。そして韓国民主化運動は韓国内のみならず、世界各地で展開された。日本では民団系在日朝鮮人、米国・西ドイツなどではその地域に在住/滞在する「韓国人」が運動を主導した。2000 年代に入ってから海外における韓国民主化運動に対する研究が本格的に行われるようになったものの、民団系在日朝鮮人の韓国民主化運動についてはさほど研究が行われていないのが現状である。その理由として挙げられるのは、運動を展開した民団系在日朝鮮人の「親北」(親北朝鮮)疑惑や運動組織である韓国民主回復統一促進国民会議日本本部(韓民統) に対する「反国家団体」規定である。講演では、韓民統を中心に、韓国民主化運動をめぐる「日韓連帯」について考える。

●講師プロフィール

2013年に東京外国語大学博士後期課程満期退学、2014年学術博士号取得。2016年より東京外国語大学海外事情研究所の特別研究員。「世界韓民族文化大典」(韓国学中央研究院、2019年にHP公開)日本編の一部を執筆。共訳書に『植民地朝鮮の警察と民衆世界 1894~1919』(ソンイン、2019)がある。



【第15回】2021年9月29日(水)18:00~20:00
講演:「皆で作った韓国文学の波~「K-POPの次はK-BOOK!」と信じて~」

講師:金承福さん(キム・スンボク、株式会社クオン代表、K-BOOK振興会専務理事)

<zoomによるオンライン開催>

●講演内容

1991年に来日した当時、韓国の作家の本が書店にほとんど並んでいないことに驚きました。それから20年。今では書店の一番目立つところに韓国発のエッセイ本が並び、韓国の作家の知名度や人気もますます高まっています。韓国の本を日本の読者に紹介するため、出版社(クオン)、書店(チェッコリ)、そして出版社を横断する立場(K-BOOK振興会)でこれまで取り組んできたことをご紹介するとともに、韓国の本をさらに楽しむための情報をお伝えします。

●講師プロフィール

1969年、韓国全羅南道霊光生まれ。ソウル芸術大学文芸創作科で現代詩を専攻。1991年に卒業し日本へ。日本大学芸術学部文芸科卒。来日してからも韓国の詩や小説を読むことを欠かさないほどの本好きが高じて出版社を立ち上げることを決意し、2007年にクオンを設立。事務所移転に伴い、2015年に韓国の本を専門に扱うブックカフェ「CHEKCCORI(チェッコリ)」を、本の街・神保町にオープンした。



【第16回】2021年11月10日(水)18:00~19:30
講演:「戦後補償問題の歴史と展望」

講師:臼杵敬子さん(うすき・けいこ、「日本の戦後責任をハッキリさせる会」代表、ジャーナリスト)

会場:北海道大学メディア・コミュニケーション研究院407室<オンライン配信も行います>

●講演内容

私が活動を始めたきっかけは「韓国遺族会(韓国太平洋戦争犠牲者遺族会)」との出会いだった。遺族会所属の元慰安婦たちからも、金学順さん以前に話を聞いていた。なぜ戦後処理問題は45年もたってから始まったのか? 日韓条約で終わったと日本政府は主張するが、戦後処理はできていなかった。どうすれば日韓の戦後処理は片付くのだろうか? 今回の講演では、慰安婦、軍人軍属、徴用工問題を基本に考える。


●講師プロフィール

フリージャーナリスト。テレビ、雑誌などで日韓問題をルポ。香川県在住。



【第17回・ワークショップ「親密圏と公共圏からみる〈日韓連帯〉の政治社会学」】2021年12月17日(金)16:00-18:30/12月18日(土)13:00-18:00
第17回「日韓連帯フォーラム」は道内外の研究者をお招きし、2日にわたりワークショップを開催します。

近年の日韓関係の葛藤の根源を診断し、未来志向のパートナーシップの展望を開くためには、政治や経済部門ではない、社会・文化における交流の実践と歴史に注目することが重要です。本ワークショップでは、「日韓連帯」というトランスナショナルな「運動文化」の多様な経験が日韓関係において位置づけられる政治社会学的な性格について議論します。とくに、「日韓連帯」を抵抗空間としての「公共圏」だけでなく、共感とコミュニケーションのあり方として「親密圏」のもつ政治的役割にも注目し、運動内での個人のアイデンティティや文化的ダイナミズムが構築されていくプロセスを浮き彫りにします。

*zoomでオンライン参加できます。下部のフォームよりお申込みください。

会場:17日 北海道大学メディア・コミュニケーション研究院101室

   18日          同            407室

~プログラム~

〇12月17日(金)

16:00〜16:30 主旨説明
 
 玄武岩(北海道大学) 戦後補償運動の物語アプローチ

16:30〜18:30 セッション1―戦後補償運動と〈日韓連帯〉 (進行:玄武岩)

 金明柱(梅光学院大学)  関釜裁判を支援する会の実践

 金誠(札幌大学)     日本の戦後責任をハッキリさせる会の実践

 呉世宗(琉球大学)      沖縄戦時における朝鮮人という問題

 〈討論〉

〇12月18日(土)

13:00〜15:00 セッション2―親密圏としての〈日韓連帯〉 (進行:金誠)

 本庄十喜(北海道教育大学)北海道における朝鮮人強制動員犠牲者をめぐる〈日韓連帯〉

 松井理恵(跡見学園女子大学)大邱の植民地景観の保全と活用

 倉橋耕平(創価大学)    〈平和の少女像〉を展示する実践

 〈討論〉

15:00〜15:10  休憩

15:10〜17:10 セッション3―トランスナショナルな公共圏と〈日韓連帯〉 (進行:本庄十喜)

 李美淑(立教大学) 日韓連帯運動の構造分析の試論

 金敬黙(早稲田大学)市民運動論からみる〈日韓連帯〉

 森類臣(摂南大学) ジャーナリズムにおける日韓連帯の事例研究

 〈討論〉

17:10〜18:00 総合討論―公共圏と親密圏の〈日韓連帯〉

 コメント 藤野陽平(北海道大学)




【第18回】2022年3月19日(土)14:00~16:00
講演:変わる韓国、変わる日韓関係

講師:木村幹さん(きむら・かん、神戸大学大学院教授)

会場:北海道大学学術交流会館 1階「小講堂」<オンライン配信も行います>

●ご案内

最後の講演会は、韓国研究の第一人者である神戸大学の木村幹先生にご登壇いただきます。

大統領選挙後の韓国はどこに向かうのでしょうか。

最新刊『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』(中公新書)の内容も踏まえて、新政権発足後の日韓関係について展望していただきます。

●講師プロフィール

1966年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。同大学院博士課程中退。愛媛大学法文学部助手、講師、神戸大学大学院国際協力研究科助教授を経て2005年より神戸大学大学院国際協力研究科教授。博士(法学)。専攻は比較政治学、韓国地域研究、韓国ナショナリズム、歴史認識問題。著書に『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、2000年、第13回アジア太平洋賞特別賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(ミネルヴァ書房、2003年、第25回サントリー学芸賞)、『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書、2004年)、『高宗・閔妃』(ミネルヴァ書房、2007年)、『民主化の韓国政治』(名古屋大学出版会、2008年)、『韓国現代史』(中公新書、2008年)、『近代韓国のナショナリズム』(ナカニシヤ出版、2009年)、『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房、2014年、第16回読売・吉野作造賞受賞)、『歴史認識はどう語られてきたか』(千倉書房、2020年)などがある。

*参加ご希望の方は以下のフォームよりお申込みください。《申込締切:3月18日(金)17:00》

*オンライン参加をご希望の方には講演当日の午前中までにzoomのURLをお知らせします。

【申し込みフォーム】https://forms.gle/HBpY7RA8DQv4ceRF6

【問い合わせ】東アジアメディア研究センター 下郷・芳賀

  e-mail:eastasian2*imc.hokudai.ac.jp(*を@に変えて送信してください)