開催日時:2010年10月29日(金) 18時00分~(報告)講演会「中国、ネットの力」を開催しました。

開催日時:2010年10月29日(金) 18時00分~

東アジアメディア研究センターは、10月29日、国際交流基金の招きで10月初旬から日本に滞在をしている中国のネット上でのオピニオンリーダーである安替氏を北海道大学に招聘し、「中国、ネットの力」をテーマに講演会を開催しました。また、日本における中国語ニュースサイトの草分けである「共同網(共同ネット)」を立ち上げた共同通信社の記者・古畑康雄氏を招聘し、「中国のネット・ジャーナリズムの現況」について講演いただきました。

古畑氏から、中国のネット・ジャーナリズムの現況として、Twitterなどのソーシャルメディアを利用した言論空間の広がりについて、詳細な説明がありました。

安替氏は、10月8日に劉暁波氏がノーベル平和賞受賞が決定した際に、中国の一般Webサイトやマスメディアではその情報が全く伝えられなかったが、その情報は、Twitterなどのソーシャルメディアによって多くの人々に伝えられたことを指摘。言論が管理されているメディア環境下において、Twitterが新しい自由な言論空間を生み出している。安替氏によれば、Twitter公式サイトへのアクセスは中国政府にブロックされているが、第三者が制作したアプリケーションを通じて、Twitterの利用が可能であり、現在、中国におけるTwitterのアクティブユーザー数は約10万人と推定され、今後も増加するという。

安替氏は、ネットユーザーの変化とともに起こり得る将来に向けての示唆として3点を指摘する。1つ目は誰にでも発言の自由が存在すること。2つ目は情報は財産であること。3つ目は参加するデモクラシーが存在すること。市民にも自由な発言の権利があり、その情報は誰かに削られたり、修正されたり、ごまかされたりするものでなく、伝えたいことを伝える権利があり、そして、市民はフォローやツイートすることで自分の意思や同意を表明することを通じて、伝統的な民主のあり方を変えつつある。このことは中国でも起こりうることであり、人々の思考法も変わってくるという。



日時: 2010年10月29日(金) 18時~20時

場所: 北海道大学情報教育館3F 多目的中講義室(北17条西8丁目)

主催: 北海道大学東アジアメディア研究センター

内容: 講演1「中国のネット・ジャーナリズムの現況」

     共同通信社国際局記者・古畑康雄

    講演2「ツイッター中華 -インターネットは中国社会を変えるか」

     安替(通訳あり)

古畑康雄: 1989年東京大学文学部卒(中国語中国文学専攻)。共同通信社入社後、地方支社局、留学(北京・対外経済貿易大学)、本社経済部などを経て、2001年から国内主要メディアでは初の中国語ニュースサイト「共同網」を企画、運営。現在国際局記者(中国語ニュース担当)。

安替: Michael Anti 本名趙静。1995年南京師範大学卒業後、南方報業集団のメディアで記者として活躍。03年~07年ニューヨークタイムズ北京支社勤務。ケンブリッジ大学ウルフソンカレッジメディア客員研究者(07年)、ハーバード大学ニーマンフェローメディア研究者(08年)。中国を代表する著名なブロガーであり、コラムニスト。