公開ワークショップ
「中国体制内メディアの報道倫理とポリティカル・コレクトネス」
開催日時:2015年4月16日(木) 16:30~18:00
場 所:人文社会科学総合教育研究棟 W401
【報告者】袁静(人民日報系『国家治理』雑誌社エディター)
【司 会】柿澤未知准教授(公共政策大学院)
【主 催】北海道大学公共政策大学院附属公共政策研究センター東アジア研究所、メディア・コミュニケーション研究院附属東アジアメディア研究センター
【言 語】日本語
習近平指導部は、「4つの全面」というスローガンの下、反腐敗を中心とする政治権力構造内部のガバナンスの改善に取り組む一方、反体制的な言論・活動に対する締め付けを強化しており、パリに本部を置くジャーナリスト団体の「国境なき記者団」(RSF)が昨年2月に公表した「世界報道の自由度ランキング」によれば、中国は2002年の138位から175位に大きく後退し、調査対象180カ国の中でワースト5にランクされるほど、報道規制が強化されていると指摘されています。
最近では、中央電視台(CCTV)の看板キャスターであった柴静氏が、同社を退職した後、中国の大気汚染に関する調査報道「穹頂之下(アンダー・ザ・ドーム)」を作成し、その動画を今年2月末にネット上で配信して大きな反響を呼びました。担当閣僚が柴静氏の調査と問題提起を高く評価するコメントを発したところ、その直後に党中央宣伝部が同動画のネット配信や関連報道を全面的に禁じたこともあり、中国におけるジャーナリズムと報道規制のあり方が再び脚光を集めることになりました。
柴静氏がかつて属していたCCTVは、周知のとおり、人民日報、新華社等と同様に「体制内メディア」と位置付けられる報道機関であり、すなわち、党・政府の宣伝機関でもあります。しかし、柴静氏の今回の行動は、体制内メディアで働く人々の中にも、ジャーナリストとしての使命感や倫理観を有する若手知識人が少なからず存在することを示唆しています。「体制内メディア」で働く彼らは、日々の取材や記事・評論を作成するにあたって、どのようにアジェンダを設定し、どこから情報・材料を集め、いかなる制約を考慮に入れながらジャーナリストとしての職責を果たそうとしているのでしょうか。
今回は、人民日報系の雑誌社でエディターを務める若手ジャーナリストの袁静氏(現在は東京大学大学院客員研究員として2か月間日本に滞在中)をスピーカーとしてお招きし、「中国体制内メディアの報道倫理とポリティカル・コレクトネス」をテーマとして議論致します。ぜひ御参加下さい。
なお、本企画は学術振興会『課題設定による先導的人文・社会科学研究推進事業』(領域開拓プログラム)「新たな華語情報環境のもとでの中国研究が示唆する次世代型地域研究」(代表者:メディア・コミュニケーション研究院・渡辺浩平教授)の助成によるものです。
参加を御希望の方は、事前に公共政策大学院・柿澤までメールによる参加登録をお願いします。
【問い合わせ先】
柿澤未知(公共政策大学院附属センター東アジア研究所)
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