2020年代以降、中国の政治・経済・社会・メディアに関する研究は、情報統制の強化を背景に、中国での現地調査がますます困難になるという課題に直面してきた。一方で、情報技術の進歩に伴い、大規模かつ多様なデジタルデータがオンライン上で容易に入手できるようになった。量的テキスト分析という新たな手法を用いて、メディアデータから中国の政治・経済・社会の分析にとって新たな重要変数を発見することは、今後大きな潮流となるだろう。中国メディア研究分野でも新たな可能性が生まれている。本研究会では、量的テキスト分析を用いて中国メディアを分析してきた2名の研究者が、その知見と洞察を報告する。
報告者として、慶應義塾大学大学院生御器谷裕樹氏に、中国研究における量的テキスト手法の源流と最新の趨勢を踏まえ、この新しい方法を用いる可能性と課題について紹介いただく。また、金沢大学の工藤文氏に日本における中国メディア研究の最新成果を紹介いただく。工藤文氏は博士論文に基づき、3月に『中国の新聞管理制度―商業紙はいかに共産党の権力を受け入れたのか―』を刊行する予定である。書籍では、メディア研究と政治学理論に基づき、中国の商業紙が中国共産党と政府を支持し続ける複雑な仕組みを量的テキスト分析と内容分析の手法によって明らかにした。討論者は、量的テキスト分析の手法を用いて、中国政治、プロパガンダに関する多くの成果をあげた神戸大学周源氏にご登壇いただく。
本研究会は、中国メディアの分析に関心を持つ研究者が最新の成果を共有し、情報交換や学際的な交流を促進する機会となる。参加者は量的テキスト分析の手法による中国研究の現状と課題について理解し、中国メディアの最新成果から知的刺激を受けることが可能であろう。
【開催日時】2024年3月5日(火)16:00-18:00
【場所】北海道大学 国際広報メディア観光学院 メディア棟105室(札幌市北区北17条西8丁目)
【配信情報】
https://zoom.us/meeting/register/tJIpc-CprDIsGtF3D3eXXadFwv7aZBlxYZ9m
(下記のZoom URLにて事前登録)
対象者:学内外の大学院生、学部生、教員のご参加をお待ちしております。予約は不要です。
使用言語:日本語
【タイムテーブル】
16:00-16:10 開会挨拶
16:10-16:50
御器谷裕樹(慶應義塾大学)
「量的テキスト分析による現代中国研究―源流、再興、課題―」
16:50-17:30
工藤文(金沢大学)
「中国の新聞管理制度―商業紙はいかに共産党の権力を受け入れたのか―」
17:30-18:00 討論
討論者 周源(神戸大学)
司会 于海春(北海道大学)
問い合わせ先:于海春(u_kaisyun@imc.hokudai.ac.jp)
主催:北海道大学東アジアメディア研究センター
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