6月30日、中国の工業和信息化部(以下工信部と略称)は、「緑垻(Greendam)」と呼ばれるフィルターの義務化を延期する通知を出した。工信部は 6月初旬に、中国で発売されるコンピュータすべてに、同フィルターの装着を発表していた。有害サイトからの青少年保護を理由とした施策にネットユーザーは 一斉に反発。ネット上では、同フィルターをもじるキャラクターや動画が掲載され、それをまた当局が削除するというイタチゴッコがおこった。実は、フィル ター問題の直前にもネットユーザーの力が示される事件が起きていた。5月上旬、湖北省のとある県のカラオケ店で女性が、町の役人から暴行を受け、女性が男 一人を刺し殺すという事件が発生したのだ。数日後、警察が彼女を傷害罪の罪で捜査中とのコメントを出すと、ネットユーザーから、「正当防衛だ」という声が 沸き起こり、支援のための弁護団が結成され、彼女の写真をあしらったTシャツも売り出された。6月16日に下された判決は、過剰防衛による傷害罪とする も、心神喪失を理由に刑事処罰にはあたらないとし、彼女は釈放されたのである。ネットユーザーは自らの勝利を高々とうたいあげた。しかしながら、先の工信 部の決定は、あくまでメーカーの対応の遅れを理由とした延期だ。すでに、5月下旬、パソコンメーカーにインストールを指示しているという。フィルター問題 は今後どのように展開するのであろうか。(渡邉)
メディア研究コラム